【企業インタビューvol.4】体力テストのDX!自治体営業のポイントや難しさを伺いました!

目次

はじめに

こんにちは!リクロスの木藤です。

今回は企業インタビュー第四弾として、Pestalozzi Technology株式会社(ペスタロッチ テクノロジー)の中村さん(@gakuuu39)にお時間をいただきました。

学校の体力テストをDX化するサービスの事業責任者という立場で営業組織をマネジメントされている中村さん。

在籍は被っていませんが、私が以前所属していたリクルートの先輩ということでいろいろお話を伺いました。

早速見ていきましょう!

インタビュー

事業内容

木藤:中村さん、本日はお時間をいただきありがとうございます。早速ですが事業内容を教えていただけますでしょうか?

私たちは、子どもたちの体力づくりを支援するプロダクトを提供しています。具体的には、体力テストをDX化するサービスを開発・販売しており、現在7都道府県48市町村、約4,400校に導入されています。日本の10校に1校導入いただいているような規模感です。

教育業界では「ICTツールを活用しましょう」「先生の業務負荷を削減しましょう」などの動きがありますが、その両方を満たすサービスとなっています。あとは「個別最適な学び」という点も満たしますね。

木藤:体力テストのDXについてもう少し具体的にお聞かせください

従来の体力テストは、主に紙の記録用紙を使用し、先生が手作業でデータをまとめていました。生徒が測定結果を記入し、先生がそれを一枚ずつ集計し、エクセルに転記するため膨大な時間と労力が必要でした。その後、先生は結果を教育委員会へ報告するという流れでしたので、子どもにフィードバックされるまでに時間がかかることなどが課題でした。

弊社のサービスは、これまで紙で管理されていた体力テストのデータをタブレットで入力し、自動集計・分析するものです。先生の業務負担を軽減しつつ、子どもたちには即時フィードバックできるので体力向上に繋げていきます。

フィードバック後には、一人ひとりが決めた目標に合わせた運動がオススメされたりもしますね。また、先生向けに「全国平均と比べてこうだから、こういう授業をやるといいですよ」といったオススメもされます。

木藤:ご丁寧にありがとうございます。ちなみに価格はどのくらいでしょうか?

生徒1名あたり年間150円(税抜)です。導入のハードルが低いので多くの自治体が予算削減観点でも関心を持ってくれています。

木藤:安価で驚きました。自治体が興味を持つのも納得です。ちなみにアプリを活用しますか?それともブラウザですか?

ブラウザです。アプリを導入できない自治体もあったりするので。

木藤:やはりブラウザなんですね。これまで支援したお客様も、導入のハードルを下げるためにアプリには手を出していなかったです。お話を聞く感じ、アポ率数十%はあるのではないでしょうか?

ありますね。

木藤:やはりそうですよね、当たってうれしいです(笑)法人向けテレアポのアポ率は0.5~1%ですが、私は自治体向けでは10倍の5~10%と言っています。ただトレンドに乗っているサービスだと20,30%に届くこともあるんですよね。前回のEmpathy4u様も弊社がご支援させていただいて35%ほどでした。

自治体営業の戦略とポイント

木藤:営業体制についても教えてください。

現在、自治体営業のチームは7名体制で運営しています。営業担当が各自治体へ提案を行い、カスタマーサポートとカスタマーサクセスのチームがフォローアップを担当しています。

初期段階では1,700以上ある自治体に一斉アプローチする「量」の戦略を取りましたが、現在はターゲットを絞り、より効率的な営業活動を展開しています。

木藤:具体的にどのようにターゲットを選定していますでしょうか?

健康や体力に関する計画を持っている自治体をターゲットにしています。ホームページや教育大綱、教育長の発言などを隅々まで確認していますね。

木藤:計画は自治体のホームページに掲載されていますもんね。順調に営業活動が進んでいるようですが、中村さんなりにポイントを教えていただけますでしょうか。

トップダウンのアプローチではなく、現場(指導主事や先生)との関係構築が非常に重要です。自治体はボトムアップの意思決定が多く、現場の理解がないと導入が進みません。

教育長に話したからといって、校長会や体育主任会で話が折れることは珍しくありませんね。

木藤:すごく分かります。「行政はトップダウン」という世間の印象は合っていますが、それだけを鵜呑みにして首長や議員、部長などに直接アプローチしても上手くいかないことは全然あります。現場の反対があるとかなり停滞するので、自治体営業する際はボトムアップをサポートする心構えでいたほうが上手くいくことが多いです。

あとは、自治体が何のために存在しているのかを考えてコミュニケーションを取ることも重要だと考えています。「このサービスを売りたいから」ではなく、「このサービスが広がった先に、地域の住民(先生や子ども)の生活がこうなる」といった形ですね。

木藤:商材ではなく未来を売る(啓蒙する)ようなイメージですね。自治体営業する際は「職員が面倒だと感じる」ことが大きなハードルになるので、熱量を持ってアプローチすることが大事なんですよね。「役所は機械的」という印象が世間的にはありますが、職員の方々は内に秘めた熱を持っていることが意外と多いです。

熱量が伝播しやすいと私も思っていて、パッションを持って営業することを常に意識しています。

木藤:熱意ある営業は本当に大事ですよね。

そういう意味では自己紹介なんかも力を入れているポイントですね。「なぜ自分がこの仕事をしているのか」は語れるようになってほしいです。顧客がサービスを導入する理由を訴求するよりも、「本気でこの仕事に命を懸けています」と言った方が納得度が違うといいますか。

自治体営業の難しさ

木藤:リクルートでは法人営業をされていたようですが、今自治体営業をされていていかがでしょうか?

受注が基本的に年に1回しかできないので、その難しさを感じています。毎月「目標を達成した、未達だった」という営業であれば失敗と成功がすぐ判明するので、そこから学びを得て改善も素早くできますが、自治体営業だと失敗だと判明するまでの期間が非常に長いと感じます。

木藤:言われてみればそうですね、ハッとしました。

なので、いかに成功のシナリオを描き、それを信じて行動できるかを大切にしています。

営業パーソン個人としてもPDCAが回しづらいので気を付けないといけないと思いますね。

木藤:私がリクルート在籍時は、顧客ごとにどのくらいの接点を持つかが決められていました。「ここは月1回以上、ここは3か月に1回以上」など。そういうチェックポイントなしに年1回の受注機会で営業の成否が決まってしまうと、「予算要求前に1回だけアプローチすればいいか」といった営業活動が行われる可能性が高まってしまいます。自治体営業のスケジュールの記事にも書いた通り、営業は当然のように通年アプローチすべきですよね。

いきなり提案だけして話が通る可能性は低いですよね。ちゃんと現場の課題を確認して、丁寧に合意形成していって、議会という最終決裁者に対して提案できないといけないと思います。そのためには4月からの営業活動では時間が足りません。

木藤:おっしゃるとおり4月からでは遅いです。弊社のお客様にも、1月頃の首長内示が出たあたりから翌々年度を見据えた営業活動をするように提案していますし、実際に活動していただいています。そもそも予算要求までで営業活動をストップしてしまうと、下半期に活動しないことになってしまいます。

今日はお話を伺えて良かったです。自治体ビジネスで一生懸命に取り組み、良い影響を与えてくださる企業様を新しく発見できて本当に嬉しいです。今後もいろいろ教えてください。

ありがとうございました。

最後に

Pestalozzi Technology株式会社の中村さんにお話を伺いました。

インタビュー記事内では触れていませんが、体力テストのDXというビジネスがあることに驚きましたし、自治体には私が知らないサービスや業務改善余地がもっとあるんだろうなと思いました。

今後も発信や営業支援サービスを通じて企業様のお力になれればと思います。

最後に、インタビューにご協力いただいた中村さんのプロフィールとサービス紹介を掲載いたします。ご興味のある方は是非ご連絡してみてください!

中村さんプロフィール

神奈川大学卒業後、株式会社リクルートで外食市場開拓のエリアリーダーとして従事し、担当エリアを全国TOPのDX化に成功。
その後、ウォンテッドリー株式会社などベンチャー企業複数社で営業組織のマネジメントを行う。
その後2024年7月より現職。

サービス紹介

サービス名:体力テストデジタル集計アプリALPHA(アルファ)(https://pestalozzi-tech.com/alpha/

体力テストの計測・集計・分析業務のデジタル化を行うサービスです。

3年で7都道府県48市町村 約4200校、日本の10校に1校が利用中、政令指定都市から小さな町まで様々な自治体に導入され、教員の働き方改革、児童・生徒の平等で個別最適な学びに繋げることができます。

この記事を書いた人

1994年生まれ。東北大学を卒業後、豊橋市役所へ入庁。文化課と中央省庁出向を経験後、リクルートで法人営業に従事。その後、株式会社リクロスを創業し、自治体営業の支援に取り組む。

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