はじめに
こんにちは!リクロスの木藤です。
今回はプロポーザル選定委員の決め方とそこから考えられることについて書いていきます。
企業の皆様はプロポーザル選定委員の決め方をご存知でしょうか?
経験を重ねた方であれば、経験からなんとなくどういった方が選ばれるか分かると思います。
しかし、より解像度高く理解できれば、企画提案書やプレゼンの考え方が変わるかもしれませんので、是非チェックしてみてください。
それでは早速見ていきましょう!
プロポーザル選定委員の決め方
本メディアではよく「行政の一定品質のサービスを届ける仕組み」について触れています。
選定委員の決め方についても、全国どの地域でも・誰が選んでもいいようにルールが決められています。
「プロポーザル 選定委員 決め方」とグーグル検索したところ、上位に高知市プロポーザル選定委員会条例が表示されましたので、こちらを見てみます。
(組織)
第3条 委員会は,次に掲げる者のうちから市長等が委嘱又は任命する委員15人以内をもって組織する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 本市職員
(3) 前2号に掲げるもののほか,市長等が必要と認める者
私の実務経験からも、完全にこの通りに選定委員の案を決めていました(実際のところ人数は5名がほとんどでしょうが)。
それぞれ見てみましょう。
学識経験を有する者
コトバンクによると、学識経験者とは「学問上の知識と高い見識を持ち、生活経験が豊かであると社会が認めている人」とのこと。いちばん分かりやすいのが大学の先生ですね。
先生と呼ばれる職業と言うと、公認会計士も選ばれたりします。
広く「専門性のありそうな方」という認識で良いかと思います。
本市職員
これはそのままですね。
自治体職員の中でも、部課長級が選ばれることがほとんどです。
担当部署の部課長のほか、関連しそうな部課長が選ばれると思ってください。
スポーツ課が主な担当課だとすると、公共施設関係であれば建設系の部課長が、子どもにも関わるのであれば子ども系の部課長にも声をかけるイメージです。
前2号に掲げるもののほか,市長等が必要と認める者
条例上は「その他」のような扱いですが、案外この枠に該当する方も選ばれると思ってください。
というのも、不正だと思われないように、自治体職員が選定員の過半数を超えないようにすることが多いからです。
オーソドックスな5名構成だとすると、自治体職員は多くて2名です。
学識経験者で3名を集めるのはスケジュールや旅費の関係で簡単ではないので、1~2名は「前2号に掲げるもののほか,市長等が必要と認める者」から選ばれると思ってよいでしょう。
これは合理的に説明できればOKなので、例えば以下のように決めます。
- 事業を実施する地域の自治会長だから
- 過去に関連業務の経験があり、男性or女性だから(「5名とも男性」などを避ける形です。性別に関しては時代もあるので変わっているかもしれません)
- 〇〇に造詣が深いから
繰り返しですが、「合理的に説明できればOK」です。行政ではこういったことがけっこうありますね。
選定委員の決め方から考えられること
こちらを再掲します。
(組織)
第3条 委員会は,次に掲げる者のうちから市長等が委嘱又は任命する委員15人以内をもって組織する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 本市職員
(3) 前2号に掲げるもののほか,市長等が必要と認める者
これを見れば分かるとおり、企業様が提供するサービスに関して直接的な知見がある方はほとんど選ばれません。
公式観光サイトのプロポーザルがあったとして、選定委員として選ばれるのは「観光分野の研究をしている大学の先生」や「人事異動により配属された自治体職員の方」であって、Webサイト制作経験がある方が選ばれることは非常に稀でしょう。
プロポーザルで事業者を選定するようなサービスであればなおさら、地方で直接的な知見を有する方を探すのは困難です。
また、直接的な知見を有していても現役社員は選ばれないでしょうし、過去の経験があっても一種の箔(役職など)がない方は選ばれないと思いますので、なおさら直接的な知見を有する方は選ばれづらいです。
以上の内容を踏まえて、私からは以下を提案します。
- 企画提案書やプレゼンテーションは、誰でも分かりやすい内容にする。
- 書いていないことは評価できないので、文字を詰め込んででも伝えるべきことは書く。
- 担当部署含む選定側でいちばん詳しいのは普段やり取りしている担当者になるので、担当者との信頼関係構築を重視する。
三つ目の関係構築については、本メディアでいちばん書いていることですね。プロポーザル選定委員の決め方から考えても、非常に重要な要素になります。
最後に
プロポーザル選定委員の決め方とそこから考えられることについて書いてきました。
条例の内容を暗記する必要はありませんが、改めて「自治体職員などの行動は、ルールの影響により一定の傾向が見られる」ことが伝われば幸いです。
それではまた別の記事で!今回もありがとうございました!
1994年愛知県豊橋市生まれ。東北大学卒業後、新卒で市役所へ入庁。文化課や中央省庁への出向、転職してリクルートで営業を経験後、株式会社リクロスを創業。リクルート出身のメンバーを中心に自治体営業の支援に取り組みつつ、自治体営業プラスを運営。